Pregident

 

第39回東北理学療法学術大会
大会長 藤澤 宏幸

(2021-01-20)

 

はじめに、感染症対策に日々注力され、そのなかで理学療法の業務にあたられている会員の皆様に心より敬意を表します。

 さて、国民にとっては初めて感染症による緊急事態宣言が出され、“遠隔”、“インターネット会議”、そして“三密を避ける”など、人と人との分断、接触を避けるということが課題となりました。その意味で、人と人との付き合いの本質とは何かについてあらためて考えさせられる時間であったとも思います。一方、理学療法は接触を基本とした治療法であり、人と人とのつながりを大切にする仕事であります。あらためて述べる必要もないかもしれませんが、リハビリテーション医療の観点からみれば、多様なつながりのある社会へ対象者に戻ってもらうための支援をおこなう仕事でもあるわけです。

 このように、我々は身体をとおして行動し、行為する存在であり、それは身体の社会的側面といってもよいかと思います。治療学としての理学療法においては、生物学的身体を対象として機能不全の回復、行動制約の解除を目的としてプログラムを立案し、遂行することが多いわけですが、それだけでは全人的アプローチとはいえません。今回のコロナ禍はまさに社会的拘束により、我々の行動が制約されたのであり、全ての日本人があらためて自身の社会的身体としての存在を意識したともいえるでしょう。理学療法士は常日頃から対象者の社会的側面についてもよく考え、支援の方法を検討することが求められているのです。

 また、私は後輩に「理学療法士はおせっかいでなくてはならない」とよく言っております。それは、目に見える形でお節介を焼くのではなく、人知れず相手のことを考えることだと思うのです。仏教においては「身口意の三業(しんくいのさんごう)、清浄に(しょうじょうに)」と言われます。すなわち、心から相手のことをおもい、口に出して励まし(言霊)、他者のために行動することが大切だということです。対象者の生活(朝起きてから寝るまで)のことを考え、多言は控え、必要な励まし、助言を心がけ、治療すること。これも一つの社会的身体としての在り方だと思います。

 本大会においては人と人とのつながり(社会)を通して、理学療法を見つめ直してみたいと思います。それは、参加者の皆さん自身の社会的身体としての側面を見つめ直すことでもあります。普段はなかなか触れないような社会学の視点から、理学療法の新たな一面を発見できれば大変嬉しく思います。それでは、多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。