大会長挨拶

岩月写真

第42回東北理学療法学術大会

大会長 岩月いわつき 宏泰ひろやす

(公立大学法人青森県立保健大学)

このたび、2024年9月7日(土)・8日(日)に第42回東北理学療法学術大会を青森県立保健大学で開催することになりました。本学術大会は東北6県の理学療法士が集い、理学療法の臨床で経験する疑問や課題に対して英知結集の場としての役割を果たしてきました。第42回学術大会では、テーマを「2025年を見据えた理学療法 ~キャリア形成と地域保健~」としました。

本邦では少子高齢化が年々加速する中で2025(令和7)年までに「団塊の世代」が全て後期高齢者となり、超高齢社会を迎えることになります。この社会的影響の一つが、医療費や介護費の増大、それに伴う現役世代の負担増大です。国は高齢者が要介護状態となっても、それぞれの地域の実情に合った医療・介護・予防・住まい・生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築を推奨しています。このシステムを構築する5要素の一つにリハビリテーションも含まれています。なかでも病院での救命後に提供される回復期リハビリテーションは患者の生活機能を高める機能的な役割を担っており、それぞれの地域の実情に合わせた生活支援との橋渡しが求められています。高齢者が病院での救命や疾病の治療を終えた後に地域で本人が尊厳をもって自分らしく暮らしていく上で、今まで以上に一次予防、二次予防を推進する必要があります。これまで、リハビリテーションの目的は対象者の生活機能の向上と社会参加の促進として展開されてきましたが、今後の理学療法士は地域包括ケアを支える専門職として活躍することが求められ、早急にこの新しい課題に対処する準備が必要となります。

一方、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会 理学療法士・作業療法士受給分科会」によると、理学療法士と作業療法士の供給数は、2025年を転換点として需要と供給の逆転が生じる試算が示されています。日本理学療法士協会員の20代、30代の理学療法士数は男女合わせると約10万人で全会員の半数を占めている現状から、直近に理学療法士の需要が減少し競争が激化する環境下で生き残るためのキャリアモデルの構築は喫緊の課題といえます。

本学術大会では、本邦の2025年に迎える人口構造の変化に向けた医療・介護の一体化に重要な役割を果たすことのできる理学療法士モデル及び理学療法士の需給バランスが大きく変化する中での成功するキャリア形成について熱く討議し、参加者にとって有意義な学術大会とするとともに広く国民の期待に応えることができる情報を発信する場にしたいと考えております。

2023年12月吉日